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能を読む―細川家が一族で楽しんだある日の能:永青文庫

能を読む―細川家が一族で楽しんだある日の能:永青文庫_a0290613_23522024.jpg

先日訪問した三井記念美術館「能面と能装束―みる・しる・くらべる―」では、

展示されていた能装束は、三井家の人々が能を舞う時に使っていたものでした。

能楽は、時代を遡ると、世阿弥によって基礎が築かれたのが室町時代。

戦国の世にも信長、秀吉らによって愛好され、

江戸期には武家の式楽となって、いわば武士の必須科目となります。

細川家はというと、嫡流は室町幕府三管領にまで遡る高い家柄。

永青文庫を管理する細川家の初代藤孝(幽斎)は戦国から安土桃山時代の武将で、

その子忠興(三斎)は、信長、秀吉、家康に仕えました。

忠興の子忠利の時、肥後熊本に封ぜられ、大名となって維新まで続きます。

つまり、能の発展期と肥後細川家の確立時期はほぼ重なっているのです。

実際、初代幽斎は、7世観世元忠、8世観世元尚に師事、

太鼓の名手でもありましたし、

3代忠利からは金春流と喜多流を庇護。

細川家は、初代から能とともにあったのです。

本展では、細川家が京都丹後に城を構えていた時代に

50回も行われた能会の番組から2回分を選び、

前期・後期に分けて、その演目でシテが使った品々を紹介。

前期は、天正14年(15862月の番組から、式三番、百万、紅葉狩、

後期は、慶長2年(159744日の番組から、敦盛、松風、杜若を展示します。

「細川家が一族で楽しんだある日の能」です。

<能とは>

細川忠興 筆 細川幸隆 奥書《花伝書抜書》(1)。

桃山時代成立とされる能の伝書を、2代忠興が抜き書きしたもの。

書き写すほど、熱心に能の理解に取り組んでいたことがわかります。

<細川家と能>

飯河妙佐 作《三斎様丹後江被成御座候節之御番附田辺宮津所々古来番附》(2)。

三斎とは、細川忠興のこと。

家臣である妙佐が遺した、細川家丹後時代の演能記録。

非常に興味深いです。

ちょうど後期展示の対象である、慶長2年(159744日のページが開かれていて、

みると、いちどきに演じられる能の数が多いことに驚きます。

この日だと、式三番のほかに11番も。

いったい何時間やったのでしょうか。

順にみると、羽衣、敦盛、松風村雨、松虫、山姥、龍田、玉葛、杜若、

楊貴妃、当麻、老松。

この順だとすると、式三番はよいのですが、続いて三番目物、二番目物、

三番目物、四番目物、五番目物、四番目物、四番目物、三番目物、

三番目物、五番目物、初番目物となっていて、ちょっと不思議。

この後の展示は、このうちの敦盛、松風村雨、杜若について。

各演目には、演者の名前が記載されています。

現在の記載方法とは少し違っています。

もちろん、細川家の主従が挙げて参加をしていて、

この日だと、龍田の太鼓を幽斎が、

松風村雨のシテを、この冊子の作者長岡(飯河)妙佐が演じることになっています。

<敦盛>

細川忠興 筆《謡本》(10)。

忠興直筆の謡本。

透かし模様の入った豪華な和紙に筆写されたもの。

幸若舞の「敦盛」だそうですが、ゴマ点がずいぶんシンプルで、

今とは違うのはそのせいなのかも。

ゴマ点のない詞章の部分もあります。

幸若舞の「敦盛」といえば、信長が桶狭間の戦いの前に、

「人間五十年 下天の内をくらぶれば 夢幻の如くなり」と謡い舞った後に

出陣したというエピソードが有名。

今日演じられる能「敦盛」と通じる謡が多いようです。

出目満永 作《十六》(11)。

後シテである平敦盛の亡霊が掛ける面。

一ノ谷で源氏の奇襲を受けた平家が海へ逃れる中、

取り残され、熊谷直実との一騎打ちで討たれ、

十六才でこの世を去った敦盛のための面です。

まるで女性のように色白で、化粧をし、お歯黒もしています。

当時の公達の慣習に沿ったもの。

満永は、越前出目家の4代目で、裏面に「満永」の焼印があります。

《長絹 萌黄地花籠垣秋草文様》(13)。

萌黄地の色と、そこに織りこまれた秋草がとても美しいです。

抑制の効いた華やかさ。

《中啓 金地波日輪模様》(14)。

能で使われる扇の一つ。

波に沈む太陽の模様は平家を象徴し、負け修羅扇とも言われます。

使い込まれていて、そこに人々がいたことを感じさせます。

<松風村雨>

細川藤孝 奥書《下掛り五番綴謡本》(20)。

下掛り系統の金春流の謡本。

幽斎の自筆ではありません。

これもゴマ点が非常にシンプル。

児玉満昌 作《小面》(22)。

先日の「能面と能装束」展で《阿古父尉》の作者だった人。

裏面に、焼印で「天下一近江」の焼印があります。

近江とは児玉満昌のこと。

11)の出目満永の養子で、越前出目家から分かれ、「児玉家」を立てました。

同《小面》(24)。

これも同じ「天下一近江」の焼印のある、児玉満昌作の小面。

22)と比べると、同じ作者でも微妙に雰囲気が違います。

能「松風村雨」は、現在では「松風」といいますが、

在原行平の寵愛を受けた、シテの松風とツレの村雨という姉妹が登場します。

二人とも小面を掛けるので2つ展示されているのでしょう。

下村清時 筆《扇面 松風図》(21)。

金地にシンプルに松と海の一部を描いた扇。

描いたのは、下村観山の兄で彫刻家の清時です。

<囃子道具>

囃子の道具である、能管、小鼓、大鼓を展示。

いずれ劣らぬ凝った出来ですが、目についたのは、

黒漆地に金平蒔絵で、椎の枝とドングリを描いた《椎蒔絵小鼓胴》(33)、

木地に透漆を塗り、雷に乗った雷神や雷光を描いた《雷神蒔絵大鼓胴》(35)。

<装束>

ここでは鬘帯と腰帯を展示。

どれもシックで綺麗。

<杜若>

3つ目の能です。

細川藤孝 筆《謡本》(47)。

幽斎自筆ですが、巻子になっています。

やはりゴマ点はシンプル。

そういうものだったのかもしれません。

《腰帯 紅地胴箔扇面縫草花模様》(50)。

どれも素敵な小物類の中で、目立ったのがこれ。

鮮やかな紅地と、模様の緑や金のコントラストが素晴らしいです。

《唐織 紅白段籠目に藤文様》(51)。

紅白の段に籬を織り出して地紋とし、

そこに赤、紫、橙など様々な色の藤を散りばめた、美しい唐織。

ここまでが、慶長2年関係の展示。

ここからは、やはり細川家の能関係ですが、時代は大正時代に飛びます。

<芥川龍之介が観た隅田川>

近藤樵仙 筆《能舞台下図》(52)。

細川家の飯田橋富士見町の別邸には能舞台がありました。

芥川龍之介のエッセイの中に、そこで能「隅田川」を見たという記述があります。

この下図は、その舞台のもの。

今はなくなってしまった舞台を偲ぶことができます。

児玉満昌 作《曲見》(53)。

その時の「隅田川」で、

攫われたわが子梅若の死を知って嘆き悲しむ母が掛ける面です。

「隅田川」のシテの面は、深井か曲見ですが、

細川家は金春流なので、曲見が一般的。

龍之介が見た「隅田川」の会には、

駐日フランス大使ポール・クローデルも来ていました。

細川家の人脈も凄いですし、

その中心に能があったというのも凄いことだと思います。

日本のものでもてなしをすることができたわけですね。

<能で遊ぶ>

《能絵合かるた》(54)は、47曲のハイライトシーンを4枚ずつ描いてあって、

これで遊ぶと能のポイントが覚えられるのだそう。

びっくりです。

この後、下の展示室でも中啓などの扇が何点か展示。

すべて金地などに手描きの一点ものばかり。

しかも結構使い込んであるのです。

文化を蓄積するには、使い続けないといけないということです。

考えてどうなるものでもありません

大事なポイントであるように思いました。


能を読む―細川家が一族で楽しんだある日の能:永青文庫_a0290613_23525895.jpg

928日まで)


by tabinotochu | 2014-09-23 23:56 | 絵画など | Trackback | Comments(0)